こんにちは。吃音(きつおん)って聞いたことありますか??
簡単に説明すると、言葉がうまくでてこない症状のことです。「どもり」ということもあります。
実は、筆者は長らくこの吃音に苦しんできました。現在もたまにどもってしまうことがありますが、「どうしよう、どもってしまった」と悩むことは なくなりました。むしろ、「吃音は私の個性!!」くらいの気持ちがもてるようになりました。
そこで、本記事では10年間吃音に苦しんだ筆者が、葛藤してきたことや受容できるようになった経緯を紹介します。
吃音にも種類があります。
吃音と一口で言っても、そのどもり方には色々なものがあります。その中でも大きく分けると3つに分類できます。
①連発型
例「わ、わ、わ、私の名前は●●です。」
このようにある音を繰り返して発声する場合のことを「連発型」といいます。
私自身、この連発型の吃音持ちです。吃音の人はわかると思うのですが、それぞれの人に発声しにくい音というのがあると思います。
私の場合には、ア行が苦手で、「あいうえお」からはじまる言葉が本当に大嫌いでした。バイトでも「ありがとうございました」ということがとても多くて、非常に苦痛でした。
②伸発型
例「わーーーーたしの名前は●●です。」
このように、言葉の始めのある音を長く伸ばして言う場合のことを「伸発型」といいます。
私はこの特性は持っていないので、詳しいところはわかりません。
③難発型
この「難発型」は、言葉を発しようとしてもなかなか出てこない場合のことをいいます。
私は、この難発型でもあり、なかなか音を発することができない場面がよくありました。そして、頑張ってやっと言葉が言えたと思っても、今度は連発型でどもってしまう、ということもあり、本当に苦しかったです。
どもるようになった中学時代
私がどもるようになったのは中学時代でした。何が原因でどもるようになったのはよく覚えていません。
中学時代は、思春期ということもあり、かなり色々なことに悩んでいました。悩みすぎて、苦しすぎたためかどうかはわかりませんが、正直その頃の記憶があまりありません。
しいて言えば、その苦しみをすべて勉強にぶつけていたという記憶は残っています。
もっとも吃音で苦しんだ高校時代
①授業で指名されるのがイヤでイヤでしょうがなかった。
高校時代は本当に吃音に苦しみまくりました。
その理由として、授業の形式の変化があげられます。
中学までは、グループや班での活動、ワークシートを使った活動などがあり、教師が一方的に話す授業ではありませんでした。
発表する時にも、代表の人が発表するという形でした。
ところが、高校になって、授業形式が一変しました。
基本的に、教師が一人で話して、私たち生徒はそれを聞いてノートにメモを取っていく。という感じのものが多かったですね。
授業が面白くない先生ほど、一人でしゃべりまくる率が高かったように思います。
一方で、話しまくるのでなく、時々生徒に質問をして、やりとりをしながら授業を進めていくタイプの先生もいました。
そういう先生の授業は、面白く為になるものが多かった印象です。
だが、しかし、吃音持ちの筆者からすると、その質問形式の授業こそ、とても苦しいものだったのです。
授業の中で先生から指名される時、
- 「今日はこの列を前から当てるぞ」っていうタイプ
- 質問を一つするごとに、「はい、●●さん」「これは●●さん」というように一貫性無くその場その場で指名していくタイプ
の2種類の先生がいました。
吃音持ちの筆者がどちらの方がイヤかわかりますか?
正解は、「今日はこの列を前から当てるぞ」っていうタイプの先生です。
「急に指名されるのは大丈夫なの?」って思った方もいると思います。
このあたりは正直、人によって何がイヤかは変わってくると思うので、あまり断定はできません。
ただ、一吃音持ちとして、個人的には「ああ、次の次の次にあたる・・・」「ああ、一人終わったから次の次だ」「ああああ、とうとう次だ」「ああああああ、今度の質問は私が答えなければならない!!!!!(パニック状態)」というようにじわじわとパニックが差し迫ってくる感じが本当にイヤでイヤで仕方ありませんでした。
逆に、急に指名される時だと、指名された時の衝撃(驚き)でぱっと言葉が出たりするんですよね。不思議。
②部活のシーンとした空間で話さないとならないのが苦痛だった。
高校時代、私は合唱部に所属していました。
「吃音の人が合唱?」って思うかもしれませんが、吃音持ちの私でも歌を歌う時にはどもることがありませんでした。だから、楽しかったです。
しかし、合唱部だからといって、日常会話も合唱な訳ないじゃないですかーーー!!(泣)
母校では、高校生にしては珍しくオペラをやっていました。割と本格的なもので、演技が付いてからは「だめだし」というものをやります。
これは、一通り演技をした後で、どこがよかったか、どこっが悪かったか、などを先生から教わるというものです。
それで、このだめだしをするために、指揮者(部活の顧問)の横に座って、顧問が演技を見ながらあれこれいうのをメモる係の人が必要なんです。
この係は基本的に生徒内で順番でやっていました。
そして、演技が終わったら、そのメモった人がだめだしを一つずつ話していきます。
これです・・・。この時、大勢の前で話さないといけないのが、本当に、とても、ものすごく苦手だったのです。
一度、緊張しまくって、どもりまくってしまい、それ以降その席に座ることを考えただけで、不安が頭いっぱいになるようになってしまいました。完全なるトラウマです。。
相変わらず、どもっていた大学時代。そして転機が訪れた。
大学生になっても、どもることは相変わらずでした。ですが、どもることを回避したり、多少隠すことができるようになりました。
そんなこんなで大学4年生になったある日。友達からさらっとこんなことを言われました。
「●●ちゃん(筆者の名前)って、どもりがあるよね~」
「あ、うん。」
あまりにもその友達がさらっと口にしたので、拍子抜けしてしまいました。
そして、
「なんだ、ばれてたのか。じゃあ、隠す必要ないな。認めちゃおう」
と思えるようになりました。
その一件以降、自分がどもることを隠す必要がなくなったので(心理的に)、気持ちがとてもラクになりました。
正直なところ、今でもまだまだどもることはあります。
それでも、前のように「あ、やばい。どもることがばれちゃう」と思うことはなくなりました。
どもること自体は同じでも、気の持ちよう次第でこんなに変わるものなんだな、と実感しました。
まとめ
ここまで、私が吃音とともに過ごした10年間をざっくりと紹介しました。
あくまで、ここに書いたことは私個人の感想です。
吃音と一口でいっても、一人ひとり苦しんでいることや悩んでいることは違うと思います。
ですが、この経験談が今吃音で苦しんでいる誰かや、その周りの人の心の支えになれば幸いです。
以上、読んでいただきありがとうございました。