失恋ソングとしても有名な槇原敬之の『もう恋なんてしない』。この曲は、1992年に発売された、槇原敬之の5枚目のシングルです。他のアーティストがカバーすることも多く、2007年にはAAAが、2011年にはJUJUによってカバーされています。 本記事では、『もう恋なんてしない』の魅力についてご紹介します。
情景が目に浮かぶような繊細な歌詞
『もう恋なんてしない』では、失恋した男性の日常が描かれています。この曲では「ヤカンを火にかけたものの、紅茶がどこにあるかわからな」かったり、「朝食を作ったもののおいしくない」という日常の何気ない描写の中で、失恋による切ない感情が見事に歌われています。
他にも、「ゴミ箱を抱え」込んだり、相手あての郵便を見て、センチメンタルな気持ちになったりと、がんばって毎日を過ごそうとしているけれども、どうしてもその合間合間に意中の相手の姿が浮かんできてしまうことがわかります。
この曲が多くの人に感動を与えるのは、このような見逃してしまいそうな一瞬を切り取って歌詞にしてくれているからではないでしょうか。
槇原敬之の優しい声に癒される
この曲は、作詞、作曲、歌の全てを槇原敬之が担当しています。前述したように、詩のよさはもちろんですが、それに加えて槇原敬之の優しい声が、この歌詞をさらに引き立てているように感じます。
この歌に主人公は、「君がいなくても生きていけるんだよ」とばかりに強がっていますが、それはあくまでも強がりであって、本心ではありません。この、強がっているけれども、まだ相手のことを思い出してつらくなってしまうという複雑な感情が、槇原敬之の優しい声によってとても良く表現されています。
槇原敬之は、激しいリズムを刻む訳でも、大きな音を出す訳でもなく、ただたんたんと流れるようにこの曲を歌いあげています。でも、いや、だからこそ、聞いている側が自分のことと重ね合わせながら、聴くことができるのはないかと思いました。
全体的に赤みがかったMVが切なさを引き立てる
『もう恋なんてしない』のMV(ミュージックビデオ)は、全体的に赤みがかっており、ぼんやりとした印象になっています。
曲全体の切なくも優しい雰囲気にあった、温かみのあるMVです。使われている色は赤がベースになっており、失恋したつらい心をじわじわと温めてくれる感じがします。
以上、槇原敬之の『もう恋なんてしない』について紹介しました。ぜひ一度聞いてみてくださいね。