黒マントに黒ぼうしのすてきな三人組は、今あなたの心に住んでいますか?
泥棒なのに、、、なぜか愛くるしくて、どうにも憎めない三人が登場する本、『すてきなさんにんぐみ』を紹介します。
題名:すてきなさんにんぐみ
トミー=アンゲラー 作/今江祥智 訳
1969年12月初版 偕成社
あらすじ
黒マントに、黒い帽子の三人組の泥棒は、いつも人々を驚かせ、金銀宝石を集めることに夢中でした。 ところが、ある日、みなしごのティファニーちゃんと一緒に暮らすことになって、三人は変わります。 今までためてきた宝の使い道をティファニーちゃんに聞かれ、三人はとびっきりすてきなアイデアを思いつきました。
どんなすてきなアイデアかは本で確認してみてくださいね。
子どもの心をくすぐるかっこいい三人組
黒マントに、黒い帽子。ラッパの銃に、胡椒吹きつけの武器、そして、真っ赤なおおまさかりを手にした三人は、どう見たって怖い人です。
でも、そんな「怖いはず」の三人組は、みなしごの女の子・ティファニーちゃんとの出会いによって少しずつ変わっていきます。
「泥棒」というと、「怖いもの」「よくないもの」というイメージが浮かんできます。
この三人組も例にもれず、怖い人たちです。
では、なぜそんな怖いはずの三人組は、私たち読者の心をくすぐり、こんなに長い期間愛され続けてきたのでしょうか。
ここからは、私が考えたことを書いていきます。
1,悪いことをするかっこよさ
悪いことって、かっこよくないですか?
悪いことなんだけどかっこいい、とも言えるし、悪いことだからこそかっこいい、とも言えるかもしれません。
特に、子ども時代は「あれはだめ、これはだめ」といいこと、悪いことをはっきりと教えられることが多いように思います。
そんな中、この本では、なんと悪いことをしている代表格である、泥棒が主人公なのです。
バカがつくほど真面目に生きてきた私自身、この本を読み聞かせしてもらうと、とてもスッキリした気持ちになりました。
普段自分が押さえつけていた感情を、彼ら三人組にたくしていたのかもしれません。
最終的には「めでたし、めでたし」で終わるからこそ、彼ら三人組に感情移入することができたのだと思います。
2,白とも黒とも言いがたい三人の人間らしさ
人間って、完全にいい人も、完全に悪い人もいないと思うんです。
でも、私が子ども時代に触れ合ってきたものは、アンパンマンや水戸黄門など、いわゆる勧善懲悪のものばかりでした。
悪いものは悪いし、いいものはいい。
いい人になるのは大変だったし、悪い人間になどなってはいけない。
今思えば、そういう気の迷いこそが人間らしさだと思うのですが、そういう時に、この絵本にとても励まされました。
悪さと良さを合わせもっている三人の存在は、とても大きいものでした。
3,イラストが印象に残る
表紙のイラストには、黒マントに黒いぼうしの三人組が描かれています。
背景は青色で、一人は真っ赤なおおまさかりを担いでいます。
表紙でもわかるように、この本では、全体を通して、青色の背景が多く使われています。
三人の活動時間が夜といることもあり、青(と黒)が多用されているのですが、この青がとてもきれいな色なんですね~。
泥棒というモチーフ自体は確かに怖いのですが、この青色のおかげで落ちついた印象になっている気がします。
さらに、背景の青・黒のおかげで、それ以外の色が引き立っています。
本の裏表紙のところにも、こんなことが書いてあります。
アメリカの書評から
アンゲラーの色の使い方のすばらしさは、目をみはるばかりだ。鮮やかな赤、黄色、緑色を効果的に配し、濃い青の背景の中に、三人のどろぼうを黒く、くっきりと浮かびあがらせている。
とにかく、独創的で、魅力的で、雄大で、楽しいすばらしい絵本だ。
書評誌〈ザ・ホーン・ブック〉
ストーリーの面白さはもちろん、イラストの奥深さにも要注目の一冊です。
以上、絵本『すてきなさんにんぐみ』を紹介しました。子どもさんだけでなく、大人の方も子ども心に戻って楽しめる絵本です。是非一度読んでみてくださいね~。
- 作者: トミー=アンゲラー,いまえよしとも
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1969/12/16
- メディア: 単行本
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読んでいただき、ありがとうございました。また読みにきてね。ぐっばい。