「恵まれた家庭に生まれたはずなのに、どこか苦しくて生きづらい」
「何不自由ない生活をさせてもらえたのに、心はいつももやもや。自分に自信が持てないし、自分のことが大嫌い」
真面目な優等生で、いつもがんばってきたけれど、心にはぽっかりと穴が開いているような気分。
そんなあなたはもしかすると、「優しい虐待」の被害者かもしれません。
以下では、「優しい虐待」とはどのようなものであるのかや、「優しい虐待」が子どもに与える影響、「優しい虐待」が起きやすい家庭について、ご紹介します。
- 普通の虐待とは違うの?
- 「優しい虐待」とは?
- 「優しい虐待」の具体的な例は?
- 「しつけ」と「虐待」の境界線は?
- 「しつけ」と「虐待」の判断の仕方
- 「優しい虐待」が起きやすい家庭の特徴とは?
- 「優しい虐待」が子どもに与える影響は?
- 優しい虐待の世代間伝達とは?
普通の虐待とは違うの?
一般的に虐待というと、暴力や暴言、ネグレクト(育児放棄)などが思い浮かぶのではないでしょうか。
これらが「虐待」であることは誰の目から見ても明らかだと思います。
一方で、今回取り上げる「優しい虐待」は「見えない虐待」とも呼ばれ、殴る蹴るなどの虐待に比べ、わかりづらいという面があります。
周りの人はもちろん、虐待をしている本人や受けている子どもでさえ、虐待の事実に気付いていないこともあるようです。
「優しい虐待」とは?
「優しい虐待」とは、「愛情という名のもとに起こる過保護や過干渉」のことをいいます。
「愛情という名のもとに」という点がポイントで、それを行っている親は、心の底から「娘のため」「息子のため」と思っていることが多いです。
「優しい虐待」は、繊細で感受性が強い子どもと、自分に自信が持てていない親の間で起こりやすいそうです。
やさしい虐待は、敏感過ぎる子供と自分を肯定できない母親の間でよく見られます。「あなたのためを思って」という口グセで、自分の価値観を押しつけて、子供を自分の意のままに操ろうとしてしまうのです。
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ともあるように、「あなたのためを思って」という言葉を利用して、子どもを自分の思い通りに動かそうとするのが、「優しい虐待」です。
「優しい虐待」の具体的な例は?
普通の虐待とは違って、その実態が見えづらい「優しい虐待」。
具体的にはどういったものが「優しい虐待」にあたるのでしょうか。
たとえば、「いい大学を出て、大手企業に就職し、20代半ばで結婚すること」。こういった親の価値観を子どもに押し付けることも、優しい虐待に入ります。
他にも、「○○ちゃんはいい子だから、こういうことはしないよね」というような言葉かけも、暗に「それをしたらダメ」ということを伝えているので、場合によっては「優しい虐待」に入ることもあります。
このように、「しつけ」と「虐待」の境目はとても難しく、一見子どもにとって+(プラス)に思えるような教育やしつけが、虐待になってしまうこともあります。
「しつけ」と「虐待」の境界線は?
「しつけ」と「虐待」の境界線は非常に曖昧(あいまい)です。
「優しい虐待」問題に詳しい長谷川博一氏は、著書『お母さんはしつけをしないで』の中で、
子どもが健やかに育ち、社会に役立つ自律的な大人になるためにこそ、お母さんはしつけをやめたほうがいいのです。
(中略)
いま、子どもをめぐる環境は、昔とはさまがわりしています。そして、「しつけの後遺症」が、さまざまな問題としてあらわれています。それも教育熱心なお母さんほど、子どもにあらわれる後遺症が深刻なのです。
とのべています。
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「しつけをやめた方がいい」と聞いて驚く方も多いのではないでしょうか。
これは、「しつけも虐待も本質的には同じである」という長谷川氏の考え方に基づいています。
子どもを大人の都合よく動かそうとするのは、しつけではなく虐待ということになるんですね。
「しつけ」と「虐待」の判断の仕方
「しつけ」と「虐待」の違いは曖昧ですが、判断する時には、
- 「虐待」は親が感情のままに子どもを叱ること
- 「しつけ」は子どもが自分で自分の感情や行動をコントロールできるように導くこと
というようにとらえるのがおすすめです。
「優しい虐待」が起きやすい家庭の特徴とは?
「優しい虐待」が起きやすい家庭には特徴があります。
これを聞くと驚く人も多そうですが、実は「優しい虐待」はいわゆる「いい家庭」や「しっかりしている家庭」でよく起こります。
パッと見る限りでは、「理想の家庭」であることも多々あります。
意外に思うかもしれませんが、理想の家庭像は次第に子どもの心をむしばんでいくのです。
「いい子でいなければ自分は愛してもらえない」という気持ちを持った子どもは、常に親の期待に応えようとします。
その結果、親や周りの大人の顔色をうかがうようになり、自分の気持ちを押し殺すようにまでなってしまいます。
【優しい虐待が起きやすい家庭の特徴】
- 親がまじめだったり、優等生だったりする家庭
- 子どもの教育に熱心な家庭
- 勉強や習い事などに積極的な家庭
- 親自身が、自分の親とうまくいっていない家庭
- 親自身が、自分の親の言う通り生きてきて、親のいうことは絶対だと思っている家庭
「優しい虐待」が子どもに与える影響は?
「優しい虐待」が子どもに与える影響は、普通の虐待にも匹敵します。
優しい虐待は、目で見えないのでわかりづらいですが、子どもに与えている悪影響はとても大きいです。
具体的には以下のような影響がある場合があります。
- いつも親の目をうかがい、自分らしさがない。
- 自立心が芽生えない。
- 自発性がとぼしい。
- 自己決定ができない。
- 感情を持てなくなる。
- 人のことが信頼できない。
このように、優しい虐待の結果、子どもは自分の存在価値が認められず、自己肯定感もはぐくむことができません。
自分に対する嫌悪感も強く、周りからのストレスに弱くなることもあります。
また、優しい虐待は親子関係のみにとどまらず、学校や会社といった外部の対人関係がうまくいかないことに結びつく可能性もあります。
優しい虐待の世代間伝達とは?
「優しい虐待」は、世代間伝達があることも知られています。
世代間伝達とは、親自身が受けてきた教育をそのまま子どもに向けて、繰り返してしまうということです。
「優しい虐待」の場合も、実は子どもに優しい虐待をしている親自身が、自分の両親から「優しい虐待」を受けていたということもあります。
そう考えるとある意味で「優しい虐待」の被害者でもある親を、一方的に責め立てる訳にもいかなくなります。
本当の意味で「優しい虐待」の連鎖を断ち切るには、優しい虐待をしている側か、受けている側が、「自分は優しい虐待をしている/受けている」ということを自覚する必要があるのではないかと思います。
自覚することで、次に進むべき道が見えてくるのではないでしょうか。
もしも「優しい虐待」を一人で抱え込むのが辛い場合には、信頼できる人やカウンセラーの先生に相談してみてください。
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アダルトチルドレンに関する私の実話です。
①学校なんて行きたくなかった子ども時代
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②ピアノも習字も塾も合唱団も・・・私は習い事が嫌いでした。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。